Cross Talk 01
現場をデジタル化・自動化する、 挑戦的なプロジェクト。
テーマ:プロジェクト
Member

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TO.S.
御前崎製作所
御前崎製作所 第一製造部
生産技術課 CAM係2008年入社

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TA.S.
本社
システム改革部 システム改革課
システム開発一係2019年入社

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R.O.
御前崎製作所
御前崎製作所 第一製造部
生産技術課 生産技術係2015年入社
Introduction
木村鋳造所では、若手社員を中心に様々なプロジェクトが進行しています。今回は、計画を立てる部署と実際に製造する現場の連携を強めるプロジェクトであるCPPJ(サイバーフィジカルプロジェクト)の事務局を務めるTO.S.さん、BIツールを活用して社内にある膨大なデータをタイムリーに活用できる仕組みづくりを推進するTA.Sさん、そして自動化プロジェクトで業界の先駆者となったR.O.さんの3名に集まっていただきました。異なる視点から会社の変革に挑む3人が、プロジェクトの面白さと成長の実感を語ります。
topic 01
前例のない挑戦に、
飛び込む面白さ。
まずは皆さんが担当している
プロジェクトについて教えてください。
- TO.S.
(CPPJ事務局) - 私が関わっているのは、CPPJというプロジェクトです。簡単に言うと、「計画」と「現場」をつなぐプロジェクトなんです。例えば、会社には製造の計画を立てる部署と、実際にモノを作る現場がありますよね。計画部署は「この製品を◯日までに作ろう」と予定を立てるんですが、現場では「その日程じゃ無理だよ」ということがよく起こっていたんです。計画と現場がバラバラに動いていて、うまく噛み合っていなかった。その結果、作りかけの製品が工場に溜まってしまったり、必要以上に材料を仕入れてしまったり、お金の流れが悪くなっていました。CPPJは、この「計画」と「現場」をデータでつないで、お互いが同じ情報を見ながら協力できるようにするプロジェクトです。「サイバー(計画側のデータ)」と「フィジカル(現場の実際の状況)」を結びつけることで、ムダな在庫を減らして、会社のお金の流れを良くしていくんです。私は最初、何も知らずに事務局に抜擢されて、プロジェクトと一緒に自分も勉強しながらやってきました。
- TA.S.
(システム開発) - 私が担当しているのは、社内のデータ活用を進める取り組みです。BIツールを活用して、社内にある膨大なデータを、業務に役立つ情報として見える化したり、Excelで手作業で更新していた資料を自動化したりしています。例えば、会社のシステムに入力されたデータがリアルタイムで反映されるようにして、製造実績や不具合の件数、営業の売上データなどを、すぐに確認できるようにする取り組みです。今まで何時間もかけてExcelで編集していた作業が、入力するだけで自動的に最新の資料が作られる、そんな仕組みを作っています。
- R.O.
(生産技術) - 私は自動化プロジェクトを担当しています。元々は仕上工程という現場にいたんですが、そこは肉体労働が多くてかなりきつい現場だったんです。粉塵が舞って、音もうるさくて、夏は暑い。重たい機械を使って削る作業で、みんなやりたがらないような仕事でした。そこで、海外製の作業用ロボット設備を導入することになって、私が担当に任命されました。その後も様々な工程でロボット化を進めて、今では御前崎製作所全体の自動化推進を担当しています。
それぞれ社内で前例のないプロジェクトですよね。苦労したことは何でしょうか?
- R.O.
(生産技術) - そうなんです。ロボットや機械の知識はほとんどなかったので、最初は苦労の連続でした。鋳造業界では自動化がなかなか進んでいなくて、専門業者に相談しても「やったことない」「国内にはない」と言われることばかりで。作業用のロボット設備はスコットランドのメーカーとやり取りして輸入しましたし、別のロボットは自社で一から開発しました。まさにゼロからのスタートでしたね。
- TA.S.
(システム開発) - 私が苦労したのは、他部署の業務やデータの流れをヒアリングして理解することでした。日々その仕事をしている人にとっては当たり前でも、初めて見る立場からすると難しくて。「会社システムのA機能から資料を出して、B資料とC資料を組み合わせて、関数を組んでグラフを作る」みたいな複雑な流れを追うのに時間がかかりました。それぞれの資料が何のために作られているのか、どう使われているのかを理解するのも大変でしたね。
- TO.S.
(CPPJ事務局) - 私の場合は、計画部門と現場部門の意見の食い違いを調整するのが一番大変でしたね。計画側には計画の言い分があって、現場には現場の言い分がある。「この納期だからここで計画を立てなきゃダメだ」「でも現場はできない」って、向いているベクトルが違う方向を向いていたんです。それを一つずつ紐解いていくのに苦労しました。でも、何度も話し合って、実際にやってみて成功体験を共有することで、ある瞬間に意見がピタッと一致して、「こうやればうまくいくんだ!」とみんなが納得できて、一気にプロジェクトが進みました。
topic 02
データが、
プロジェクトをつなぐ
3人のプロジェクトには、
どんな関係性がありますか。
- TO.S.
(CPPJ事務局) - CPPJでは、前月の在庫から翌月の材料を決めたり、過去のデータから作業時間を予測したりするんですけど、そのためにはデータが不可欠なんです。TA.S.さんが取り組んでいるBIツールで個人の能力が見える化されたり、計画が見やすくなったりして、すごく助かっています。これがなくしてはCPPJはつながらなかったですね。データがあるからこそ、計画と現場が同じ情報を見て話し合えるようになったんです。
- TA.S.
(システム開発) - 実際にTO.S.さんから「こういう風にデータを出せませんか」って相談があって、対応したこともあります。一つの資料を自動化すると、「次はこの資料もできるか」「このデータも追加してほしい」って、連鎖的に要望が広がっていくんです。現場から改善のアイデアが生まれて、それに応えられるのはやりがいですね。社内だからこそ、現場のニーズに合わせて柔軟に対応できるのも強みだと思います。
- R.O.
(生産技術) - 私も生産性改善でデータはすごく大事にしています。作業時間がどれくらいかかったかとか、そういうのをBIツールで見やすくなって。「こういう風に資料や数値を出せないか」って相談すると対応してくれるので、社内ならではの実現性の高さがいいなと思います。
- TO.S.
(CPPJ事務局) - R.O.さんのロボット化も、CPPJにすごく影響を与えています。仕上工程は品質が悪いと焼き付いてしまって物が溜まったりするんですけど、R.O.さんがロボット化を進めてくれたおかげで流れが良くなりました。計画通りに作業ができるようになったのが大きいです。
- R.O.
(生産技術) - CPPJの活動が始まってから、係の中でも生産性改善とか品質改善の意識が高まったと感じます。全体を見て改善していくという動きが、工場全体に広がっていますね。
- TA.S.
(システム開発) - 仕上工程といえば、新人研修で体験した際、作業で使用した機械は重く、保護具を着用しているため夏場は気温以上に暑く感じました。さらに作業音が大きいため、会話による意思疎通も難しく、とても大変で過酷な作業だったと記憶しています。だからこそ、ロボットが遠隔操作で代わりに作業してくれるのであれば、実際に体験した身として本当にうれしいことだと思います。
それぞれのプロジェクトから
見える成果は何ですか。
- TO.S.
(CPPJ事務局) - 一番分かりやすいのは在庫が減ったことです。3年前は御前崎製作所に製造途中の製品(仕掛品)が何億円もあったんですけど、2025年の8月時点では半分になりました。在庫置き場が鉄の塊でいっぱいだったのが、今はチラホラしかない。物の整頓や移動の工数もなくなって、他の拠点から来た社員も「スッキリしたね」って口を揃えて言ってくれます。目に見えて変わったのが実感できますね。
- TA.S.
(システム開発) -
以前は数時間かけて更新していた資料もありましたが、今は最新のデータをすぐ共有できるようになって、「すごく楽になった」と声をもらうこともあります。
関係者が同じデータを見ながら判断できるようになって、業務のスピードや精度も上がったと感じています。
- R.O.
(生産技術) - 私のプロジェクトでは、作業負荷が減って安全に働ける環境が広がりました。体力に自信がない人や女性、高齢の方、障がいのある方まで、より多くの人が力を発揮できるようになる。人にも会社にもプラスになる、そんな意味のあるプロジェクトだと思っています。先日は鋳造工学会の全国講演大会でも成果を発表する機会をいただいて、自社で全て開発したことが評価され、多くの同業者から反響をいただきました。
topic 03
挑戦を支える風土と、
これからの成長
木村鋳造所には、どうしてこんな
挑戦的な風土があるんでしょうか。
- TO.S.
(CPPJ事務局) - 聞く話だと、2代目社長の時に「他と同じことをやってたらダメだ」って、木型を一切廃止して全部フルモールド法に切り替えたんです。それが挑戦の起源かなと思います。そこで頑張ってうまくいった経験が、今の文化の土台になっているんじゃないでしょうか。昔は10個作って3個成功すればいいっていうやり方だったのを、ITで事前にシミュレーションすれば1個でいいものができるって、ITに全振りしていった歴史もあります。
- R.O.
(生産技術) - 経営判断のスピードが早いこともあると思います。成功するかわからないけど、とりあえずやってみる。人材が入ってきて挑戦したいって言ったら、「やってみろ」って。全否定されることはないです。
- TA.S.
(システム開発) - 私も行きたいセミナーに行かせてもらったことはありますね。簿記3級や管理会計の勉強をしたいって伝えたら支援してくれて、BIツールやIoTに興味があればセミナーや他社交流会への参加機会をくれる。学びの場が充実しているのは本当にありがたいです。
- TO.S.
(CPPJ事務局) - 通信教育の制度もあって、優秀合格すれば全額会社が負担してくれます。それに、改善提案を出すと表彰制度があって、素晴らしいものは社長賞として賞金ももらえるんですよ。人を大事にして、その人の能力が伸びることに投資を惜しまない会社だと思います。
- R.O.
(生産技術) - 海外の技術にも積極的ですよね。海外の方が進んでいる分野も多いので、実際に視察に行って学んだことを導入する。その前向きさや柔軟さに「新しい物好きだな」って感じます。
これから入社する方へ
メッセージをお願いします。
- TO.S.
(CPPJ事務局) -
私も大学で鋳造なんて学んだことなくて、パソコンも使えない状態で入ってきました。でも、どんどん成長したいって人にはすごく向いてる会社です。
やりたいことが分からなくても、入ってから探せばいい。鋳物会社だけど全く別のことをやらせてもらえるかもしれないので、決められた枠にとらわれない仕事ができます。チャレンジしたいけど何をしていいか分からない、そういう人にもぴったりだと思います。
- TA.S.
(システム開発) - いろんなことに挑戦できて、“やってみよう”という気持ちを大事にしてくれる雰囲気があります。やりたいって声を上げれば、わりとやらせてくれる。ものづくりに興味がある方にはすごく向いている会社です。私も化学専攻だったのに情報システムをやってるので、学校の専攻にとらわれなくて大丈夫です。
- R.O.
(生産技術) - 先輩も同期も上司もみんなあたたかいです。私自身、恵まれた環境で育ってきたと思います。困ったら助けてくれる人がいるので、心配せずに飛び込んできてください。やりたいことが分からなくても大丈夫。一緒に成長していきましょう。